九州八十八ヶ所百八霊場の僧侶が地元札所を巡ります「九八巡拝記」。
熊本編(1)として、今回は、札所巡りを含めた“ のんびり”とした観光気分も味わっていただ く『 ほのぼの巡拝記 』と銘打って、巡拝させていただきました。
ご案内役は、熊本県人吉市にございます第99番札所、高野寺、味岡戒孝と小学校6年生の息子です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本三大急流のひとつ球磨川を擁する人吉球磨盆地。城下町として歴史ある町並みを残す当地は 温泉郷としても有名。球磨焼酎やグルメの街として。バンジージャンプ、ラフティング、キャニ オニング、尺アユ釣り等、自然を生かしたアクティビティーが盛んな街として、様々な視点で注 目を浴びる地域です。
今回の巡拝は、自動車やバスを利用した巡拝でなく、列車に乗って赴かれた方の視点に立って巡 拝させて頂くこととしました。熊本駅から到着した快速列車の時間と、“日本三大車窓を満喫で きる”観光列車「いさぶろう・しんぺい号」の出立時間を考慮してスケジューリングさせていた だいた。無理して巡拝するのでなく、観光も兼ねて心豊かになるような巡拝コースを作らせてい ただきました。
今回の私たちの足となってくれるのは「自転車」です。 そう、『 サイクリング 』での巡拝です。巡る札所は少ないですが、身も心も(お腹も!?)満たさ れる事請け合いです♪
自転車でしか味わえない田舎の風情、その空気。また、運動後の心地良さは、自動車とは比べ物 にならない爽快感があります。見落としがちな、穴場スポットもご紹介します。
先ずは、スケジュールです。
熊本から「8:44」に到着する快速列車を下車。 観光列車“いさぶろう・しんぺい号”の出立する「13:22」のおよそ4時間のコースを作成 しました。
「8:44」熊本から到着した快速列車。
改札口を出た右手に「人吉市観光案内所」があります。
こちらで自転車をレンタル(レンタサイクル)します。
人吉市観光案内所の開所時間は『午前9時から午後6時まで』です。
開所までの時間に、改札を出ました左手のキオスクにてお茶を求めます。
その奥にあるお手洗いにて準備万端身なりを整えましょう!
人吉駅舎正面には、珍しい『からくり時計』がございます。
当地を支配していたお殿様の愉快な物語になっています。
○ 3月~10月 9時~18時の毎時
○ 11月~2月 9時~17時の毎時
https://www.city.hitoyoshi.lg.jp/q/aview/186/1343.html
からくり時計も自動車での巡拝ではじっくり見ることができませんね。
9時からのからくり時計を満喫した後、レンタサイクルの手続きに向かいます。
併設する「くま川鉄道」でもレンタサイクルされておられますが、今回の巡拝では、勾配をモノ ともしない電動アシスト付きを用意される人吉観光案内所の『楽チャリ』さんを利用させていた だきます。因みに、アシスト自転車の用意は3台とのことです。(要連絡確認)
比較対象として、息子には自分の「アシスト無し自転車」を利用してもらいます。
では、出立です。
先ず向かいますのは、駅の裏手にあります国指定史跡『大村横穴群(古墳)』です。
駅を出た正面の道を左に向かいます。( 息子が指差す方向です )
300mほど直進しますと左手に流れる「御溝川の案内板」と小さく「大村横穴群」の案内が矢印 で示された表示が現れます。表示板の指示通り『左折』します。
後、50mほど直進し踏切を渡り左折します。
しばらく行くと駅裏手に出ます。
右手に「大村横穴群」が見えてきます。(駅からの距離500m)
6世紀から7世紀の古墳を真近かで見ることができます。
墓の周囲に彫られた絵文字がそのままに残っています。とても興味深いです。
古を探求の後は、人吉駅構内にある「石造車庫」と「転車台」を見に行きましょう。共にとても 珍しいです。単線のくま川鉄道にスイッチバックを要するいさぶろう・しんぺい号。球磨川沿い を走る肥薩線は、鉄道マニアの方々にはたまらない魅力があるとの事です。
(大村横穴群からの距離400m)
工業デザイナー水戸岡鋭治氏デザインの『田園シンフォニー』と熊本地震復興支援プロジェクト の一環でアニメ「ONE PIECE」のキャラクターがデザインされたくま川鉄道の車輌。
100年前に建てられた「石造車庫」と「転車台」。
季節の良い時期に走る『 SL人吉 』運行の際には、転車台に乗るSLの雄姿を目の前で見ることが できますね。
JR九州 SL人吉 / http://www.jrkyushu.co.jp/trains/slhitoyoshi/
では、第53番札所、観蓮寺に向かいます。
出立時刻は、9:47です。
自転車は、「 転車台 」背に左に向かいます。
左右に分かれた分岐を右方向(直進)に進み ます。カーブミラーが目印です。
SL転車台から450m。
道なりに進むと交差点に出ます。 “止まれ”を右折します。(ここから分かりやすく、進行方向を目印として黄旗で指します)
右折後、直進600mで観蓮寺へ向かう(登る)表示板(目印)が左手に見えてきます。 車両が多いので、自転車の走行には注意が必要。少し登坂します。
見落とされませんように。
観蓮寺への坂道。
ここからは、急勾配です。アシスト付き自転車の本領発揮です!
普通の自転車は、押して登坂してください。
登坂1、3キロで観蓮寺の御本堂が正面に見えてきます。
御本堂への参拝。
御本堂前の角度ある階段。のぼり下りにはお気をつけ下さい。
また、御本堂は『 土足厳禁 』です。
大師堂。
麓にある庫裡にて。自動車は十分停めることができます。
お手洗いも併設。帰り際、名誉住職様と記念写真。
観蓮寺を出立し、第99番札所高野寺に向かいます。
道順の途中までは、先ほどの道を戻ります
時刻は、10:25です。
坂道脇の交通安全地蔵尊。
良い天気に恵まれた今日(12/17)ですが、日陰には今朝降りた霜が残ります。
来た道を戻ります。
坂道を降りた正面に球磨工業高校の看板を見据え、左手には観蓮寺への目印を見て右折します。
道なり直進です。
観蓮寺を出立して約2キロ。正面に踏切が見えて来ます。
踏切手前の左に向かう小路に入ります。
ここです。左折します。
左折し直進。すぐ先、右手に踏切が見えて来ます。渡ります。
踏切を渡り直進すると大きな通りに出ます。黄旗方向、左折します。
左折後、200m直進。
右手に「セブンイレブン」が見えましたら、その前の横断歩道を渡ります。
セブンイレブン横の道を200m直進。
左手に八百屋さんを見て交差点を左折。
直進200mで高野寺入り口が見えてまいります。
(交通量が多いです。走行注意。)
第99番札所 高野寺に到着。
門前には、国宝青井阿蘇神社が鎮座されます。
高野寺は、九州八十八ヶ所百八霊場札所のみならず、九州36不動霊場第18番札所でもあります。
駐車場スペースに限りがあります。(多くて3台)青井神社駐車場もご活用ください。
お手洗いは併設されています。
高野寺参拝を終えましたら、高野寺門前にございます『国宝 青井阿蘇神社』を巡ります。
青井阿蘇神社は、神仏習合の深い歴史をそのままに色濃く残す神社です。
神社では、無料観光案内人の住吉さんと待ち合わせ。
青井神社1200年の歴史を紐解いていただきます。
途中、お檀家様にお会いし、賀ぐお祓いにも立ち会いました。
君が代の歌詞にあります『 さざれ石 』を見ることが出来ます。
国宝には国宝になる意味があります。じっくりしっかりと見てお参りいただきたいものです。
ボランティア案内人がおいでであれば、遠慮なく申し出、お話を聞きになられたら良いかと存じます。
時刻は、11:50。そろそろお腹がすいてきました。
観光案内人の住吉さんと別れ、美味しい昼食にありつきたいと思います♪
交差点を山都、五木方面に直進します。
2つ目の信号先、右手にホテル「あゆの里」が見えます。
ホテル正面、左手角にある肥後銀行九日町支店を左折。
(青井神社から約800m)
左折し、点滅信号機のある所まで直進。後、右折です。(写真。黄旗方向へ)
右折後直進しますが、ここは「グルメストリート」と言っても過言ではないでしょう。
少しばかり名店をご紹介♪
○ 佐々木食肉店 (鶏皮、ハツ一本¥35。鶴瓶に乾杯に出ました!)
○ ケーキ屋さん Lucky Branch (オススメはチーズケーキ、パウンドケーキ)
○ 茶びん (テレビによく出る店)
今回お邪魔しますのは、うどん・そばの『 まるいち 』さんです。
裏手には、広い駐車場もございます。
時刻は12:05。
まるいちさんは人気店の為、お昼時、少しお待ちいただくことになります。
親子うどんにかき揚げ丼。強者は“ かしわそば ”と“ ざるそば ”のセットを注文なさいます!
ゆっくり食事をいただきましたら、自転車返却のため人吉駅に向かいます。
時刻は、12:44です。
来た道をまっすぐ進み(戻り)ます。(距離約1キロ)
先にある点滅信号を過ぎ、2つ目の信号機を右折。(目印は肥後銀行人吉駅前支店)
正面に「人吉駅」が見えて来ます。
時刻は、12:54。
無事にゴール! 人吉駅に到着しました。
13時までの4時間借りていた自転車を返却。(料金は¥1000。JR利用で¥800)
13時からのからくり時計は、心地良く疲れた体に励ましの音色を届けてくれました。
13:22発の「いさぶろう3号」に充分間に合う事が出来ました。
13:22発の「いさぶろう3号」にて吉松駅へ。
復路、15:16発「しんぺい号4号」にて人吉駅へ。
人吉駅発熊本行き、16:43発の同列車にて熊本駅に向かうというスケジュールでした。
自転車での走行距離は、道草含めておよそ7キロ。所要時間は4時間。
これ以上の自転車での散策は、体力を消耗するものと思われます。ほどほどの余力を残して観光 列車の旅をも満喫。今回のスケジュールではそのまま熊本へ戻りましたが、16:35人吉駅に 帰着し宿に向かい、人吉温泉に浸り疲れを癒し、更に郷土料理に舌鼓…その様なスケジュールも 良いのではないでしょうか。
今回取り上げました食事処の他にも、美味しい食事処や面白い穴場、観光スポットは豊富にござ います。是非、その土地に赴かれた折には、住まわれる土地の方(霊場寺院)にお尋ねになられ てみては如何でしょうか。
何より道中は安全に、楽しく巡拝されてください。
少しでもお参りいただく皆様のお役に立てれば嬉しいです。
ありがとうございました。
南無大師遍照金剛 合掌
第99番札所 高野寺 味岡戒孝 拝